進化のラビリンス

ある日ボリスは、ギルドの入り口に立つメルに気付く。

「（もじもじ……）」
「どうしたメル、宅配物か？」

ボリスが促すと、メルは一通の封書を差し出した。

「こ、これは例の研究者からの手紙ではないか！」
「また差出人が書いてないから、なんだか渡しづらくって……」

ボリスは奪い取るように手紙を受け取ると、その場で封を切った。

ーー神話に「進化の迷宮」と呼ばれるものが出てきます。

人々の多くは伝説上のものにすぎないと捉えていますが、研究の結果、私はこれが実在したと考えるようになりました。

「研究者の説がもし正しければ、迷宮には神話にある通りに……」
ボリスには、何か心当たりがあるようだ。

「メル、至急冒険者たちを呼び戻してくれ。手紙に示された場所に向かう！」

エリィ：こんなところで石版が見つかるなんて思いもしませんでした……。
ボリス：うむ。もしかすると、研究者のいう地下迷宮が近のかも知れんな。
メル：……うわ！

大きな声に皆が振り返ると、一番後から付いてきたメルが派手に転んでいた。

エリィ：メルったら！だから付いて来たら危ないって言ったんですよ！
メル：いたたたた……た？アレ、これは……。

メルが両手をついた場所には、コケのむした巨大な石が何かを覆うように置かれていた。石には文字のようなものが刻まれている。
冒険者たちは石の周りを掘り起こすと、力を合わせ石を横へ押した。

ボリス：もしかすると、ここが……。
エリィ：私たちの目指す「進化の迷宮」なのかも知れませんね。

冒険者たちは慎重に地下に拡がる迷宮へと降りることにしたーー。

ボリス：このまま道なりに進んで問題はなかったかな……。

ボリスは、石盤の研究者からのものと思われる手紙を取り出した。

メル：この迷宮はボクが見つけたんだから、ボクにも読ませてよ！
ボリス：な、何をする……！

メルが身を乗り出して読もうとしたため、ボリスは手を滑らし手紙は水たまりに落ちた。

エリィ：んもう！メルったら。
メル：あ～あ……あっ！
メル：ねぇ、見て見て！

見ると、濡れた手紙の裏に文字のようなものが浮かび上がっていた。

ボリス：これは、古代文字の解読表のようだ。まさかこんな仕掛けがあったとは……。
メル：ボクの活躍のおかげだね！

冒険者たちは読解表を得て、地下迷宮をさらに先へと進むのだったーー。

前方

後方

メル：……あ！見て見てボリスさん。さっきのと同じ字だよ！

他より広く作られた部屋の壁に古代文字が刻まれているのをメルが発見した

ボリス：エリィ、ランプを近づけてくれ。手紙に浮かび上がった文字と見比べてみよう。
ボリス：……うむ。「各地に眠りしタリスマン武器の秘める能力を引き出す」と、そう記してある。
ボリス：武器や装備を進化させるタリスマンがあるというのはやはり本当の話だったのか！
エリィ：タリスマンって…御守りですよね？もしかすると、この辺りでも見つかるかも知れませんね！
ボリス：ああ。これは冒険者の戦いを変える新たな発見となるだろう！
メル：またもやボクの大活躍だね！

冒険者たちはタリスマンという新たな可能性を追って迷宮をさらに奥へと進む。

前方

後方

前方

後方

エリィ：まぶしい……。

冒険者たちはいつしか「進化の迷宮」を抜け、再び地上へと出てきた。

ボリス：冒険者諸君！石版とタリスマン、無事に発見することはできたか？
ボリス：もし、石版がそろっていなかったりタリスマンがなかったりするのであればもう一度、迷宮に戻って……。
エリィ：ボリスさん！私たちが見込んだ冒険者ですよ。心配しなくても、自分たちで適切な行動をとってくれるはずです。
ボリス：うむ、そうだったな！
メル：だけど今回も、手紙の差出人が誰なのか分からないままだったね。
ボリス：ああ。いまだ古代の研究者であることしかわかっていない。
エリィ：男なのか女なのか、私たちの味方なのか、それとも……。
メル：謎は深まるばかり、というわけだね！

研究者の助言により、迷宮を発見したばかりか武器や防具を進化させるという新たな知識を得た冒険者たち。
彼らはそれらを最大限に活かすべく、また新たな旅路についたのだったーー。

見づらくてすいません…